大学に通っていた時に教わった内容で、
「学校の先生は、世界一厳しいピン芸人」
という言葉を教授から聞きました 大学4年間で1番印象に残った言葉です
そう、毎日50分間の楽しい・飽きない授業を作るって至難の業なんです
どれほど面白いお笑い芸人でも、50分も漫才続けると飽きるんじゃないでしょうか?
教員の大変なところはそれを毎日続けること
授業や勉強そのものに前向きじゃない生徒も多いからあの手この手で興味を引く仕掛けを考えます
とら蔵も教員1年目の時期は愉しい授業をつくり続けることができなくて、
生徒の大半を夢の世界にいざなったことがあります
生徒が眠くなる理由~上位3つ~
生徒に1度アンケートを取ったところ、
- 1位 話を聞いているだけだから
- 2位 興味を持てないから
- 3位 疲れているから
でした
中学・高校・大学の授業で皆さんも同じように感じたことはありませんか?
悪気があるわけでもない、聞いておいた方が良いに決まっている
分かっているのに、襲いかかる眠気に勝てない時があります
人間は同じ刺激だけだと、その刺激に慣れてだんだん反応が少なくなります
お話が上手な先生でも、50分集中して聞き続けるのは生徒にとって疲れるみたいです
(1)授業で3つの矢印を活用する
明日から即実践できるのが、授業中の矢印を多方向にすることです
生徒が寝てしまっている授業の実態を聞くと、こういうケースが多いです
教員が生徒へずっと講義をしているだけの状態は、生徒の多くが眠くなるようです
50分間ずっと一生懸命聞ける生徒もいますが、
生徒の大半は、その科目(英数国理社)がそこまで好きじゃないです
こちらが一生懸命予習して、これは役立つ!と思っても、一方通行の授業そのものが
生徒にとって苦痛になっていたりします
そこで、授業では以下のような形にしてみましょう
生徒→教員(青)と、生徒⇔生徒(赤)の2つの矢印が加わると授業の雰囲気が一気に変わります
- 生徒が教員の問いかけにどんな考えを持っているか
- 隣の生徒はこの問題をどう思っているか
については、生徒は想像以上に興味を持っています
自分であれば、
- このテーマについて、まずは隣の人と話し合ってみましょう!
- では、何名か意見を言ってもらいます!
という形にして、生徒から意見が出しやすいようにしています
(2)活動に変化を入れる
次に大切にしたいのが「活動の変化」です
50分ずっと講義ではなく、下のように50分をデザインしてみると、生徒の飽きが少なくなります
① 聞く(講義)、知る(本)、観る(映像)
授業の導入、つかみの部分です
導入で生徒の心をつかむかつかまないかで生徒が50分のってくるか、こないかが決まります
社会科に限らず、授業を行う先生が1番力を入れる部分かもしれません
生徒がのってくると、50分授業がとても楽になる※んですよね
※生徒を起こす必要もない、私語を注意する必要もない
自分は、扱うテーマが身近に感じるような題材を常に探していました
- 「条例」を扱う時は、学校のある市区の条例を題材にする
- 「自由権」を扱う時は、生徒に「これまで警察から話しかけられたことがあるか」を聞いてみる
- 「臓器移植」では、臓器移植のおかげで助かった子のドキュメンタリー番組を見る
など、できれば生徒がそれについて声を出したくなるくらい身近に差し迫っているものを題材にします
そして、興味がさめないうちに導入で示したものの解説、講義をしてプリントの穴埋めをします
知識を確認したところで、次の段階にうつります
② 仲間と話す(多面性、客観性、主体性)
社会科で扱うテーマはどれも多面的な問題です
例えば、(a)臓器移植は助かる命もあるけれど(b)提供する側の葛藤もある
2つの側面から考えられる資料を提示します
2つの資料を読んだうえで、
「自分が当事者になったら、臓器移植をする?・しない?」
という問いを投げかけて、隣の人もしくはグループで話し合う時間を作ります
「なんでもいいから話してみてね」
だと、話しあいは活発になりません
話の軸を提示してあげた方が、生徒も活動しやすくなります
これをやる目的は、1つのテーマに対する他人の意見を獲得することです
授業で講義だけだと、どうしても教員1人の個人的な見方だけになります
他の生徒の異なる意見にも触れることで社会の問題は1筋縄でいかないことにも気づけます
③ 自分の考えをまとめる
①・②をふまえて最終的に自分がどう判断するか考えます
実際の政治では、選挙で1人の候補者・1つの政党に投票します
一面的な見方で決断を下さず、様々な意見をふまえて自分の考えをまとめる時間にします
コメントプリントを用意して残りの10分か15分の時間を利用して考えを書く時間にしています
50分講義の授業をやめたメリット
もともと自分は50分がっつりお話(講義)!というタイプの教員でした
でも、中学生や高校生は皆が皆社会科好きなわけではありません
どれだけわかりやすく説明しているつもりでも、眠ってしまう生徒がいたんです
であるなら、飽きてしまう前に少しずつ活動を変えてみたらどうだろう?
と考えを変えて、このタイプの授業にしてみました
メリットとしては
- 授業中生徒が寝なくなった
- 生徒の反応(コメントシートなど)でこちらの意図が伝わっているかどうかわかる
- 授業をやる教員のエネルギーも省エネ
の3つでしょうか
教員は体力勝負の仕事なので、省エネの部分は大きかったです
家に帰ってからも子どもと飛行機ごっこをたくさんできてます
補足 毎回こだわった授業がつくれるか
よく質問されるのが、毎回毎回この授業やってますか?というもの
正直言って毎回はできません
教員やってると毎日イレギュラーなことが起こるので、授業準備に十分な時間が取れない日もたくさんです
生徒たちに「社会科の授業は講義一辺倒」という意識だけは持たせないように、
週に1回行えるよう実践しています
これを読んでいる先生方も日々多忙だと思います
体調第一で無理のない範囲で授業をつくっていきましょう
そして、授業をこうするともっと良いよ!というアイディアなどあればぜひ教えてください
ご意見はこちらから
先生たちや(場合によっては現役の中高生)の人たちと学びあう場にできると良いなと思っています
以上です ではまた!
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