【中3公民】道路を作りたい県とみかん農園農家どっちの意見に賛成する?~「公共の福祉」を考える授業~

中3公民

中3公民で扱う「公共の福祉」が大切な理由

中学3年生の公民の授業で「公共の福祉」を学ぶことは、社会において共有される価値観や公正なルールを理解し、良き市民としての基盤を築く上で非常に重要です

公共の福祉は、個々の利益や欲望を超えて、社会全体の幸福や公正な分配を追求する概念です

この概念を理解することで、生徒たちは個人の意思決定が社会全体に与える影響を考え、他者と協力して社会の発展に寄与する力を養うことができます

授業では、活動に入る前に「公共の福祉」という言葉の意味の説明から入ります

「公共の福祉とは?」

公共の福祉とは、個々の市民の利益や幸福だけでなく、社会全体の繁栄と公正な分配を追求するための概念です

これは、道路や公園、教育、医療などの基本的な社会サービスの提供や、法律や規則に基づく公正な社会秩序の維持を含みます

公共の福祉は、社会全体にとって持続可能で公正な環境を築くことを目指し、市民が共同で享受できる価値を生み出す重要な原則です

同時に、公共の福祉は異なる権利がぶつかり合う場面でも現れ、その調和を図ることが求められます

公共の福祉が実際に問題になった事例~道路を作りたい福岡県VSみかん農園~

「公共の福祉」を考える事例として、実際に起こった問題を取り上げました

道路建設をめぐる、福岡県とみかん農園の対立が題材です

福岡県では新しい高速道路を建設する計画が浮上しました

しかし、その計画の実現には、みかん農園が立地している地域が影響を受け、一部の農家が土地を失う可能性がありました

この事例では、公共の福祉と私的な利益の衝突が明らかになりました

新しい高速道路の建設により、地域全体のアクセスが向上し、経済的な発展や安全性の向上が期待されました

道路の建設が地域全体の発展に寄与する一方で、みかん農園が土地を失うことにより、一部の個人が損害を被る可能性がありました

この事例を通じて、生徒たちは公共の福祉が具体的なプロジェクトや計画にどのように影響を与えるかを考え、公平で持続可能な社会を築くためにはどのような配慮が必要かを理解することができます

授業の活動

こちらが授業で使用したプリントです

① 4人グループになる→2人が福岡県の立場、2人がみかん農園の立場

「公共の福祉」の問題に取り組むため、生徒たちは4人のグループに分かれます

このグループは、福岡県を代表する2人とみかん農園を代表する2人で構成され、それぞれが異なる視点から問題にアプローチします

この分担は、様々な立場や意見が出る中で公平かつ多角的な議論を促進し、生徒たちが異なる権利や利益を理解する一助となります

② 教科書、資料集を利用して、それぞれの主張を後押しする憲法の条文、法律を探す

各グループは、教科書や資料集を活用して、自らの主張を憲法の条文や法律で裏付けます

福岡県側は公共の福祉を強調する法的根拠を、みかん農園側は私的権利の保護に関する法律を調査し、それぞれの主張を強化します

この段階での調査は、生徒たちが法的な視点から問題を理解し、論理的な議論を進めるための基盤を築く役割を果たします

③ 2人VS2人で実際に討論

調査結果をもとに、それぞれのグループは2人VS2人で討論を行います

憲法や法律の文言を引用しながら、公共の福祉と私的権利の対立を具体的に提示し、相手の主張に対して反論を行います

この討論は、生徒たちが法的知識を実際の問題に適用し、対話と議論のスキルを向上させる重要なステップです

④ グループで1つの意見にまとめる

討論の後、各グループは内部での議論を経て、最終的に1つの意見にまとめます

この段階では、異なる立場からの視点を尊重し、合意点を見出すことが求められます

まとまった意見は、クラス全体で発表され、他のグループとも共有されます

⑤ ①~④の活動の意義

この一連の活動によって、生徒たちは以下の点で重要な成果を得ることができます

まず、異なる立場からの意見を尊重し合いながら、自らの主張を法的な根拠で裏付けるスキルを磨くことができます

また、議論や協力を通じて、公共の福祉と私的権利のバランスを考える力や、異なる意見を統合する力を養うことが期待されます

最終的に、法的な視点から社会的な課題に取り組む経験を通じて、市民としての責任感や公共の利益に対する理解が深まります

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