教科書の地理的な見方・考え方のページの活用法
中1の地理の授業では、1年間教科書・資料集・地図帳をしっかり使う大切さを伝えています
ただ、こちらが「大切だと」と念押ししても、
授業の冒頭では、地理の教科書が何を伝えようとしているのかを理解するため、
「自分の紹介したい場所を地名を使わず表現する」ワークを実施します
中学地理の教科書巻頭に掲載されている「地理的見方」
自分がこれまで使ってきた教科書は帝国書院のもので、
巻頭に必ず下のような地理的見方を紹介するページが載っています
①位置や分布:どこにあるのだろうか?どこに広がっているのか?
②その場所の特徴:そこはどのような場所だろうか?
③人と自然の関係:人々の生活と自然の間には、どのような関係があるのだろうか?
④他の場所への影響:その場所での出来事は、他の場所にどのような影響を与えているのだろうか?
⑤地域全体の傾向:その地域全体を特徴づけているものは何だろうか?
多少前後することもありますが、地理の教科書は基本的に①~⑤の観点から書かれています
1年間使う教科書を生徒により深く理解させるため、次のような活動を設定します
活動:自分の紹介したい場所を地名を使わず表現してみよう!
授業をやる前に生徒に、自分の紹介したいところを1つ持ってくるように伝えておきます
例:自分の地元・祖父母宅のある場所・引越してくる前の場所など
ただし、学校のある神奈川県は外すように伝えました(様々な場所があるほうが、活動が盛り上がるからです)
具体的な流れとしては、
- ワークシートに個人で取り組む(約5~10分)
- 隣の席の生徒と2分ずつプレゼン→説明を聞いた生徒はどこの場所か予想する(約5分~7分)
- その後、教科書が地域をどう説明しているか実際に確認する(約5分)
といった流れで、教科書の中身を紹介します
ちなみに、授業で使用したワークシートがこちらです
生徒の作業が進まない時は具体例を提示
生徒の状況によりますが、筆が中々進まない時は具体例を提示しています
(1)自分が紹介したい場所:岩手県盛岡市
(2)位置や分布
- 日本
- 東北地方
- 太平洋側
- 沿岸部
(3)その場所の特徴
- 東北北部 太平洋側にある都市
- 宮沢賢治・石川啄木・原敬らを輩出
- 県内にたくさんの冷麺屋がある
- 夏はさんさ踊りというお祭で盛り上がる
(4)人と自然の関係
- 冬はとても冷えるため、多くの家が石油ファンヒーターで家を暖める
- 雪で滑らないよう、車は滑り防止タイヤを着用
(5)他の場所への影響
- この場所(岩手県)でつくる南部鉄器は世界中で売られている
- 三陸海岸の海の幸(アワビなど)は日本の高級和食料理で各地で使われる
- かっぱ伝説が全国に伝わっている
⑤地域全体の傾向
- 米の名産地 Ex.ひとめぼれ(岩手)
- 野球熱が高い Ex.花巻東高校 大谷翔平 東北楽天イーグルス など
- 方言:驚いたときに「じぇじぇじぇ」という言葉を使う など
例を示さなくても自分から書き出そうとするクラスもありました
このあたりは生徒の実態に合わせて柔軟に対応して良いと思います
活動の狙い
この活動を通しての狙いは、
- 各地域をしっかりと理解するためには、地理的見方・考え方の観点が必要不可欠
- 取り組んだ活動の観点で、教科書も各地域を紹介している
の2つを生徒に肌で実感してもらうことです
今までは教科書をただ提示してその大切さを示していましたが、それだと
教科書をぱらぱらめくって思考停止してしまう生徒もいます
であるなら、生徒が実際の活動を通して地理的な見方・考え方の一端を感じる方がはるかに効果的です
そして、地図帳や資料集の大切さについても
- 教科書だけでは地点を正確に把握することが難しい場合もある→地図帳を活用しましょう
- 教科書のみではデータや写真が不足することもある→資料集を活用しましょう
とつなげています
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