【中3公民】死刑存続の賛否を考えよう

中3公民

中3の社会(公民)の授業で実施した「死刑を存続することに賛成?反対?」という活動を紹介します。この授業では基本的人権を学習した後、具体的に刑法を学習します。生徒たちは基本的な人権に関する知識をならった後、より具体的な内容について考えを深めました。

死刑制度の概要説明

ディスカッションに入る前に、死刑制度の概要について生徒に説明します。主に、以下の4点で説明しました。

死刑制度とは何か

死刑制度は、犯罪者が犯した重大な罪に対する刑罰として、その人の生命を奪う刑罰を指します。死刑は、殺人やテロなどの極めて重大な罪に対して、社会における報復や抑止の要素があると考えられています。

日本はいつから取り入れているか

日本では、死刑制度は古くからあり、長い期間制度が存続しています。戦国時代や江戸時代にも死刑(斬首)は行われていましたが、現代の死刑制度は戦後の日本において再び整えられ、1950年に制度として復活しました。

世界は廃止する傾向にある

世界的に見ると、実は死刑制度の廃止が進んでいます。多くの国(2022年時点で112カ国)が死刑の廃止や死刑執行の停止を決定しているため、国際的な潮流としては死刑廃止が進んでいると言えるでしょう。人権の観点(※)や刑罰の効果に対する疑念から、廃止を選択する国が増えているのです。

とら蔵
とら蔵

皆さんは、死刑に犯罪の抑止力があると考えますか?

※死刑(=命を奪い取る行為)そのものが、人権に反するという考え方に基づく

日本はなぜなかなか廃止しないか

日本で死刑制度がなかなか廃止されない主な理由は、世論や政治的な部分が関係しています。日本人の中には死刑を犯罪の厳罰として支持している層も一定数おり、政治家もこのような支持に応える形で死刑制度を維持しています。

また、死刑執行に関しては、裁判の公正さ冤罪(濡れ衣による逮捕など)の問題が懸念されており、これらの懸念が死刑廃止への一因になっています。

とら蔵
とら蔵

死刑執行後に無実だとわかっても手遅れなんですよね

授業での活動「死刑制度を続けることに賛成?反対?」

ここまで説明したら討論に入ります。授業では、このテーマについて様々な視点から情報を集めて考え、ディスカッションをしました。

課題1:ペアで死刑制度存続or廃止どちらの立場にするかを決める

自分がどちらの立場(死刑制度存続派or廃止派)をとるか、2人1組で生徒に決めてもらいます。生徒の希望が無さそうな場合は、列で決めることもありました。

とら蔵
とら蔵

どっちの意見も理解できますもんね

課題2:賛成派・反対派の立場の主張を4~5分読む

ペア討論を始める前に、自分が担当する立場の主張を読み込みます。

この時、ペアの相手にどういう説明、話をするか考えながら読むように伝えます。生徒が読み終えたら、ペア討論を開始します。時間は2分間30秒主張→30秒反論を2セット繰り返します。ペアで討論をした後、どういう感想を持ったか生徒数名に聞きました。

課題3:自分の意見をまとめる

ペアでの討論をふまえて、最後に自分の意見をまとめる時間をつくります

この活動の意義:死刑についての新たな視点を得ること

死刑に賛成する立場からは犯罪抑止力に焦点を当てる声が上がりました。一方で、死刑反対の立場からは冤罪の可能性人権侵害への懸念が挙げられました。この話し合いを通じて、生徒たちは異なる意見に対する理解を取り入れた上で、自らの考えをつくることができました

一方で、死刑反対の立場からは冤罪の可能性や人権侵害への懸念が挙げられました

また、生徒たちには自分や他人の立場・意見をまとめ、発表する場がありました。他人の意見を聞くことで新たな視点を得ることもできたはずです。単なる知識の習得だけでなく、コミュニケーションや対話のスキルも向上させられたこともメリットだったように思います。

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