【中1地理】「東アジアで EU のような国家連合ができた時、どんな通貨が使われる?」

中1地理

中1の地理の世界地誌で学ぶヨーロッパの授業活動です

ヨーロッパでは、二度の世界大戦の後、戦争を起こさない、平和なヨーロッパを目指しています

そのために、ヨーロッパは国の枠組みを超えて団結する取り組みをおこなってきました

今回はヨーロッパの国々が1つにまとまることがいかに壮大な挑戦かがわかる活動を設定しました

EU成立までの歩み

EU(ヨーロッパ連合)がどういう組織か理解するため、次のような流れで説明をしています

1944年 ベネルクス関税同盟

ベネルクス関税同盟は、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの3か国によって1958年に設立されました

この同盟では、関税障壁を取り払い、モノの行き来が自由になり、市場が拡大しました

1951年 ECSC

1951年にパリ条約によって設立されたECSCは、ベネルクス3国に西ドイツ、フランス、イタリアが参加しました

ドイツとフランスの戦争の火種になっていた石炭と鉄鋼の生産の共同管理を行い、資源の共同管理を実現しました

1958年 EEC

1957年に署名されたローマ条約によってEECが設立されました

EECは、ベネルクス3国とECSCの参加国に加え、西ドイツ、フランス、イタリアが参加し、経済的な一体化を促進することを目的としていました

ECSCで資源を共同管理することになったため、加盟6か国の中での移動が活発になるはずです

そこで貿易の自由化、資本(外国企業)の設立の自由化、労働者の移動が自由になるようEECが設立された、というように伝えています

1967年 EC

ECは、EECとECSCをまとめる形で、1967年に成立しました

これにより、ヨーロッパ共同体はより広範な経済的統合を達成し、機関や政策の統合が進みました。

1993年 EU

1993年に発効したマーストリヒト条約によって、ECはEUへと移行しました

EUは、経済的な一体化だけでなく、通貨統合(ユーロ導入)や共通の外交・安全保障政策の構築など、

より広範で深い協力を目指す組織として成立しました

授業の活動:東アジアでEUのような組織ができたらどんな通貨が作られる?

ここまで説明したら、ペアで考える活動に入ります

歴史だけ説明すると、EU統合までスムーズに進んだように見えますが、

実際は様々な壁を何度も乗り越えて、現在のEUになっています

そのことを生徒に実感してもらうための活動です

東アジアでもEUのような国家連合ができたら、どんな通貨ができるでしょうか?

課題1 東アジアの通貨で描かれるべき人物を考えてみよう

生徒には

「東アジア共通の通貨に描くべき人を過去の偉人、現在進行形で活躍している著名人、誰でも良いから候補を書き出してみよう」

と投げかけます

この時、「東アジアの人皆が使う者なので、皆が知っている人にすること」という条件をつけました

狙いは、自分が推しているからといって一部の人しか知らないような人物が出ることを防ぐことです

課題2 東アジアの通貨で描かれるべき場所(自然・文化的建造物など)を考えてみよう

次に通貨で描かれるべき場所を考えます

課題1と同じように

「東アジア共通の通貨に描くべき場所(自然・文化的建造物など)どこでも良いから候補を書き出してみよう」

と投げかけます

こちらも、はじめから1つのものに絞らず思いつく限り出すように指示します

課題3 最終選考

ここまで話したら、隣の生徒(もしくは4人グループ)と中身を共有し、

そこから3つを選びます

紙幣の数は日本の1000円札・5000円札・10000円札の3種類に合わせました

3つに絞ったら

各班代表者に内容を発表してもらいます

思った以上に色々な答えが出てきて、授業は盛り上がりました

ここで大切なのは、人の数だけ紙幣に載せたい人物・物が異なるのを実感させることです

こうすることで、紙幣デザインの難しさに気づくことができるからです

この授業の狙い:国を越えて1つにまとめる難しさを実感すること

実は、ユーロに描かれる橋や建造物はヨーロッパのどこを探しても見つかりません

その理由は、架空のものを描いているからです

ユーロに架空のものが描かれる理由

ユーロ紙幣に描かれる建物が架空のものである主な理由は、

異なる国々や文化の歴史的建造物を選ぶことによる偏りを避け、中立性を保つためです

ユーロはヨーロッパ諸国が共同で使用する通貨であり、ユーロ紙幣はユーロ圏内で広く流通しています

もし特定の国の歴史的建造物が描かれると、他の国や地域からはその国に偏った印象を与えかねません

これは、ユーロが共同で使用される通貨であり、そのデザインが中立であることが求められるからです。

架空の建物を使用することで、ユーロ紙幣はすべてのユーロ圏加盟国に対して公正で平等なものとなる

との考え方から架空のものにしていました

これらを知識として伝えることは可能ですが、それだけだと生徒の記憶には深く残りません

そこで、実際にアジアで連合ができた場合を想定して、

  • ユーロのデザインを決めるだけでも様々な困難があったこと
  • ヨーロッパの人の共通の部分を見つけるのが難しいこと

を実感してもらう活動を作りました

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