地理の授業では、生徒たちが地球の異なる地域に目を向け、その土地で生まれる様々な課題に対して考える機会が設けられています
中でも今回の中1地理の授業は、アフリカ大陸にフォーカスを当て、作物の価格に絡む深刻な問いに挑戦します
「アフリカでつくる作物の値段は上がった方がいい?下がった方がいい?」
というテーマを通してフェアトレードという重要な概念について深く考え、議論するための授業紹介です
アフリカでつくる作物が安い理由
過去の歴史が背景にある中、第二次世界大戦後、アフリカ各国が独立を果たしましたが、その後もモノカルチャー経済が続きました
この経済構造が作り出す影響の一つが、賃金の低さと貧困の広がりであり、「児童労働」が生まれる一因となっています
フェアトレードとは
こうした困難な状況を改善するために生まれたのが「フェアトレード」です
討論に入る前に、フェアトレードの基本的な概要について説明します
フェアトレードは、商品の生産者が公正な価格で取引できるようにし、その結果として持続可能な開発を促進します
フェアトレードを取り入れた結果、モノの値段があがる→賛成?反対?
フェアトレードが導入されると商品の価格が上昇することについての賛成・反対の意見を探ります
具体的なフェアトレードのメリットとデメリットを紹介し、生徒たちは隣の生徒と協力してペア討論を行う形にしました
この実践的なアクティビティを通じて、個々の意見形成とコミュニケーション能力を養います
以下、フェアトレードのメリット・デメリットです
フェアトレードのメリット
生産者の収入向上
フェアトレードでは、生産者に公正な価格で取引を行うことで、生産者の収入向上を図っています
収入が向上することで、生産者は生活が安定し、教育や医療などのサービスを受けやすくもなります
また、生産者の生活が安定することで、地域社会全体の活性化につながります
雇用創出
フェアトレードでは、生産者グループや協同組合の設立を支援しています
生産者グループや協同組合は、生産者の自立を促進し、雇用創出にもつながります。
コミュニティの形成
フェアトレードでは、生産者同士の交流や協力を促しています
生産者同士の交流や協力は、地域コミュニティの形成につながります
具体的な事例
フェアトレード認証コーヒーの栽培では、生産者の収入が向上し、教育や医療などのサービスを受けやすくなったことで、地域社会全体の活性化につながっています
フェアトレード認証ココアの栽培では、生産者グループや協同組合の設立により、雇用創出につながっています
フェアトレード認証の工場で働く労働者は、最低賃金や安全衛生基準を満たした環境で働くことができ、地域コミュニティの形成につながっています
フェアトレードのデメリット
商品の高値化: フェアトレードでは公正な価格が求められるため、一部の商品が高くなる可能性があります。これが市場での競争に影響を与えることがあります
供給の不安定さ
フェアトレードに参加する生産者が限られているため、需要が高まると供給が追いつかないことがあります
これが市場の不安定さにつながることがあります
認証プロセスの複雑さ
フェアトレードの認証プロセスは難しく、これに参加するためにはいくつかの条件をクリアする必要があります
小規模な生産者にとってはハードルとなることがあります
市場での普及が遅れる
フェアトレード製品はまだ一部の市場でしか人気がありません
これが大衆に広まるまでに時間がかかります
商品の選択肢の制約
フェアトレード製品はまだ一部分ですので、選べる商品が限られています
消費者は選択肢が少ないと、購買意欲が低下することがあります
授業の展開
隣の生徒とペア討論
自分の立場を決めて読み込み、隣の生徒とペア討論します
合計で2分間お互い30秒ずつ主張を述べていく形式を取りました
全体の中から数名指名
議論が白熱していたペアの生徒の1人を指名し、どんな論点があったかを全体で聞きます
自分の意見をまとめる
自分の意見と他者の意見を踏まえて、最終的に自分の意見をまとめます
まとめた意見は次回の授業で全体に共有しました
この授業の意義
フェアトレードについては、授業が始まる前から知っている生徒が多いです
そして、生徒の大半「フェアトレードの方がいいに決まっている」と考えていました
この授業では、そう考える生徒の確信を揺さぶることができました
アフリカでの作物の価格に関する問いに対する深い理解を得ることで、フェアトレードが持つ社会的・経済的な意味に気づくこともできました
授業を通じて、生徒たちは単なる商品の取引ではなく、背後にある社会的な影響や価値にも注意を払うようになったと思います
これにより、彼らの先入観が揺さぶられ、より広い視野を持つことができました
生徒たちは、フェアトレードが持つ社会的・経済的な意味に気づき、
世界の課題に対する理解を広げる一歩にできたと思います
コメント